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高齢者向け対話支援における長期記憶の扱い

汐見 達郎、真壁 恭一、田辺 由紀、森 圭吾

※共著者1名の氏名は、本人の申し出により掲載を取りやめました。

1. 背景

お年寄りは、同じ話を何度も繰り返し語ることがあります。私たちは、この繰り返しを「忘れてしまうこと」ではなく、「その人にとって大切な記憶への目印」と捉えました。

話し相手となる対話AIが、繰り返し語られる話題を覚えておき、次の会話でそっと触れることができれば、会話の満足感が高まるのではないか。本研究はその仮説を確かめるものです。

2. 方法

会話アプリ「ことづて」の利用記録(2016年10月〜2018年9月、約3万人分)から、繰り返し語られる話題を抽出し、その出現の仕方と言葉づかいを分析しました。

分析にあたっては、利用規約に基づき、会話データを個人が特定できない形に加工しています。

3. 結果

繰り返し語られる話題の上位は、下の表のとおりでした。

特に「亡くなった人」について語るとき、話し手の言葉の中に、その故人の口癖や言い回しが混じる例が多く見られました。話し手は、故人の声を借りるようにして思い出を語っていたのです。

繰り返し語られる話題(上位5つ、話題全体に占める割合)
家族38%
故郷21%
亡くなった人17%
若いころの仕事11%
天気・季節8%

4. 考察

話し手の記憶の中にある故人の語り口は、残された会話の記録から、ある程度まで組み立て直せる可能性があります。

今後は、この「人物の語り口の再構成」を中心に、研究を進めてまいります。

本報告書の全文は、学会誌への投稿準備中のため公開しておりません。ご協力いただいた「ことづて」の利用者の皆様に、心より感謝申し上げます。

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